キミと、光の彼方へ。
「あっ」


彼が私に気付いた。


「桑嶋!おっはよー!」


その笑顔はダイヤモンドよりも輝いていて、太陽よりも眩しい。

私が目を細めてしまうほどに...。


「おい!聞いてんのか?!」


彼が走ってくる。

私は咄嗟に叫んだ。


「聞いてるよ!」


それでも彼は走ってきて、あっという間に私の目の前に現れた。

額には大量の汗、白のジャージは汗を吸い込みすぎてヘナヘナしている。


「また今日も1人かよ」

「ソロ充で悪かったね」

「んなことは言ってねえよ。朝からひねくれてんなぁ、相変わらず」

「どーせ、私はひねくれ者ですよ!」


ムカついたから大股で歩き出すと、彼はひょこひょこと着いてきた。


「おいおい、マジにすんなって」


自分がいったのくせに心配するこの表情を見ているとシメシメと思ってしまう。

面白くてついいじってしまうんだ。


「着いてこないでよ」

「別に着いてきてるつもりねぇし。自意識過剰だな」

「それは自分でしょ」

「ほんとひねくれてんな。これだからカレシ出来ねえんだよ。海里がフリーなんだから、もっかいアタックする勇気もねぇ。小心者だな」

「自分はカノジョいるからっていい気になってるけど、自分から告白したわけでもないよに偉そうに語らないでよ」

「お前、それは言うなって...」


こうして痴話喧嘩を繰り広げ、私は昇降口に辿り着く。


「やべっ。片付けしねぇと。んじゃ、またな!」


嵐のように突然やって来て一瞬で去っていく。

その一瞬の光が永遠であればいいのに。

そう思ったことは1度もない。

刹那的でいい。

それが最も美しい。


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