キミと、光の彼方へ。
結局私が落ち着いたのはそれから1時間くらい後のことだった。

それでも私はふらふらして歩くのも困難だったため、海里におんぶしてもらうことになった。

海里の背中に乗るのはこれが初めてではない。

小学校の運動会の騎馬戦の時も、中学校の体育祭で怪我をした時も、海里は私をおんぶしてくれた。

海里の背中は大きく、たよりがいがあって私は甘えてばかりだった。

でも、1番覚えているのは、あの日だ。


「海里」

「何?」

「私が溺れた日のこと覚えてる?」

「うん、覚えてる」


良かった。

海里も覚えててくれたんだ。


「私、あの時も泳げなくて足を必死に動かして浮遊しようと思ってたけど、出来なくてすごく焦ったんだよね。波にさらわれるし、このままどんどん深いところに流されたら死んじゃうって、そう思ってたら助けが来て。オレが助けるから絶対死ぬなって。目が覚めたらおんぶして日陰まで連れてってくれた。あの時の海里、すごくカッコ良くて...それで......」

「それ、オレじゃない」

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