キミと、光の彼方へ。
「美海の泳ぎ、キレイだよな。人魚姫がそこにいるみたいでさ。こっからだと良く見えるな」

「うん」

「海里もすげえよな。水陸両用って感じだしよぉ。俺、アイツにだけは何しても敵わねぇもん」

「うん...」


聞いてるふりをして聞いていない。

そうやって素っ気なくする。

構ってくれるのを待つ。

ずる賢くて自分でも腹が立つ。

私は顎を乗せ直し、ぼーっと海を見つめる。

いつの間にか視界に4人が収まっている。

砂汐奈は海里に手を取ってもらって泳いでいる。

砂良は会沢さんと水しぶきをあげて戯れている。

そのフレームの完全に外側に私はいる。

光りの中に、泳いでいけない。


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