キミと、光の彼方へ。
マーメイドロード。
そう名付けられたのには、この島に残る伝説が関係している。
時代はいつかは分からない。
でも、私たちが産まれる遥か昔に、この海の底には上半身は人間の体で下半身が魚の姿をした生き物が住んでいた。
それは海の中の世界では、人魚と呼ばれていた。
数少ない人魚の中に、母と暮らす1人の少女がいた。
宝物の亡き父の形見である真珠のネックレスを身につけ、その美しさから魚達の間では、"人魚姫"と呼ばれ、慕われていた。
彼女の趣味は海の中の散歩。
母が許したところまでは何往復でも泳ぐことが出来るので、行ったり来たり、退屈することはない。
魚と会話することも出来、友達は海中の魚だった。
海の中での生活に不自由はないし、毎日が楽しい。
人魚姫は満足していた。
しかし、16の誕生日に彼女はあるものを見てしまう。
そこだけが眩しく光っていて、まるで小さな真珠がいくつも浮遊して光り、道を示しているようだった。
人魚姫はそこに向かって泳いだ。
泳いでいった先には、海面があった。
人魚姫が顔を出すとそこには、見たこともないものに乗って必死に何かを動かしながら近付いてくる生命体がいた。
母が言っていた、"人間"だと分かった。
その人はとても美しくかつ逞しく、人魚姫の心を奪った。
人魚姫は一瞬だけ見たその人を忘れることが出来なかった。
家に帰ってもその人の姿が脳裏から消えない。
そして、その晩、嵐がやって来た。
人魚姫は嫌な予感がして家をこっそり抜け出し、浮遊していった。
その時だった。
目の前でジャボンと音がしたかと思うと、そこにいたのは、昼間のあの人だった。
人魚姫は彼を抱き抱え、海岸まで連れてきた。
このままでは死んでしまうかもしれない。
人魚姫は介抱してあげたかったが、人間に対してどうするべきか分からなかったため、彼の身を案じながらも、海の中へと戻っていった。
それから数日後、再び水面から顔を出すと彼は元気そうに海岸を歩いていた。
その姿を見て人魚姫は人間になりたいと強く思った。
人魚姫は母に内緒で、海の魔女の元に行き、彼女の魔法で足を手にいれた。
しかし、それとは引き換えに彼女は声を失った。
人間界での苦労も承知の上で、人魚姫は海を去った。
人魚姫は海岸で眠っていたが、それを助けたのはあの時のあの人だった。
人魚姫は無事に目覚めると、たいそう喜んだ。
彼もまた自分の命の恩人だということを思い出して歓喜し、2人は海の近くの小さな家で暮らすことになる。
彼は漁師であり、魚が取れない年は貧しい暮らしを強いられた。
人魚姫自身も海の中での自由は奪われ、歩く度に足はガラスを踏むように痛かった。
だが、2人はそのような困難を乗り越え、5年の時を経て結婚する決意を固めた。
足の不自由な人魚姫を気遣いながら、ゆっくりと、干潮時にしか現れないバージンロードを歩いた。
歩ききった先には小さな島があり、その島のてっぺんで2人は永遠の愛を誓い合ったのだった。
そう名付けられたのには、この島に残る伝説が関係している。
時代はいつかは分からない。
でも、私たちが産まれる遥か昔に、この海の底には上半身は人間の体で下半身が魚の姿をした生き物が住んでいた。
それは海の中の世界では、人魚と呼ばれていた。
数少ない人魚の中に、母と暮らす1人の少女がいた。
宝物の亡き父の形見である真珠のネックレスを身につけ、その美しさから魚達の間では、"人魚姫"と呼ばれ、慕われていた。
彼女の趣味は海の中の散歩。
母が許したところまでは何往復でも泳ぐことが出来るので、行ったり来たり、退屈することはない。
魚と会話することも出来、友達は海中の魚だった。
海の中での生活に不自由はないし、毎日が楽しい。
人魚姫は満足していた。
しかし、16の誕生日に彼女はあるものを見てしまう。
そこだけが眩しく光っていて、まるで小さな真珠がいくつも浮遊して光り、道を示しているようだった。
人魚姫はそこに向かって泳いだ。
泳いでいった先には、海面があった。
人魚姫が顔を出すとそこには、見たこともないものに乗って必死に何かを動かしながら近付いてくる生命体がいた。
母が言っていた、"人間"だと分かった。
その人はとても美しくかつ逞しく、人魚姫の心を奪った。
人魚姫は一瞬だけ見たその人を忘れることが出来なかった。
家に帰ってもその人の姿が脳裏から消えない。
そして、その晩、嵐がやって来た。
人魚姫は嫌な予感がして家をこっそり抜け出し、浮遊していった。
その時だった。
目の前でジャボンと音がしたかと思うと、そこにいたのは、昼間のあの人だった。
人魚姫は彼を抱き抱え、海岸まで連れてきた。
このままでは死んでしまうかもしれない。
人魚姫は介抱してあげたかったが、人間に対してどうするべきか分からなかったため、彼の身を案じながらも、海の中へと戻っていった。
それから数日後、再び水面から顔を出すと彼は元気そうに海岸を歩いていた。
その姿を見て人魚姫は人間になりたいと強く思った。
人魚姫は母に内緒で、海の魔女の元に行き、彼女の魔法で足を手にいれた。
しかし、それとは引き換えに彼女は声を失った。
人間界での苦労も承知の上で、人魚姫は海を去った。
人魚姫は海岸で眠っていたが、それを助けたのはあの時のあの人だった。
人魚姫は無事に目覚めると、たいそう喜んだ。
彼もまた自分の命の恩人だということを思い出して歓喜し、2人は海の近くの小さな家で暮らすことになる。
彼は漁師であり、魚が取れない年は貧しい暮らしを強いられた。
人魚姫自身も海の中での自由は奪われ、歩く度に足はガラスを踏むように痛かった。
だが、2人はそのような困難を乗り越え、5年の時を経て結婚する決意を固めた。
足の不自由な人魚姫を気遣いながら、ゆっくりと、干潮時にしか現れないバージンロードを歩いた。
歩ききった先には小さな島があり、その島のてっぺんで2人は永遠の愛を誓い合ったのだった。