キミと、光の彼方へ。
男子達が一斉にスタートする。

最初は皆連なるか、速い派と遅い派に二分するが、今回は後者だった。

明らかに速いグループがどんどん遅いグループを引き離して、6人くらいでおおよそ横並びで走っている。


「海里くーん、がんばれー!!」

「武波くん、ファイトー!」

「松山くーん、負けるなー!」


などと、女子から男子への、菜の花より黄色い声援が飛び交っている。

海里はどこにいても人気者。

本人はそれで苦労しているのだけれど、嫌な顔ひとつせずに、淡々と何でもこなしてきた。

そして今も...。

海里の瞳はいつでも未来を見据えている。

その存在はこの世のものとは思えないほどに眩しい光を放っていて、私の手には到底届かない。

私はその光に目を細めることしかできない。

でも、私はそれで良くて、それが良い。


「海里はなんでもこなすねぇ。すごいわ、ほんと」

「うん、本当にすごい......」


海里は後半でスパートをかけ、他の男子をぐいぐい引き離して見事1位でゴールした。


「海里すごい!」

「後で誉めてやりなよ。なんだかんだ言って誉められると嬉しそうにするんだから」

「うんっ」


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