キミと、光の彼方へ。
「ねぇ、珠汐奈。最近どうしちゃったの?なんかずっと不機嫌だよね?もしや海里となんかあった?」

「なんかあったのは私じゃない」

「えっ?じゃあ、海里と誰?」


部活に行く前、私を心配して砂良が話しかけてくれたが、砂良もあと少しで高体連だし、迷惑をかけてはいけないと思って、詳しくは話さないことにした。


「心配しないで。たぶん私の勘違いだから」

「んー、ならいいけど。でもさ、取られちゃう前にちゃんと気持ち伝えた方がいいと思うよ。海里は恋愛なんてなんのそのって感じだけどさ、なんてか...その...上手く言えないんだけど、とにかくぶつかってみなよ!このままじゃ、きっと珠汐奈が損する」


それが出来ればどんなに楽か...。

感情を圧し殺して生きてきた私には、相手のことを考えないで動くなんて、そんなこと出来ない。

たとえそれがどんなに正しくても、それで自分の肩の荷が降りても、私はその選択肢を選ばない。

大切な人に私という大きな荷物を背負わせたくないから。

こんな考え方...間違ってるのかな?


「うん...考えてみる」


嘘つき。


「そうだよ!そうこなくっちゃ!アタシも全力サポートするからさ、この夏は頑張んなよ」

「うん」


大嘘つき。


「んじゃあ、アタシ行くね!珠汐奈もバイト頑張って!」

「ありがと」


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