キミと、光の彼方へ。
「かい......」

「おーい、海里!待たせたな~。ってお前、傘は?」

「家に忘れました」

「はあ?梅雨入りしたっつうのに、傘持たないとかあり得ないだろ?せめて折り畳みくらい持っとけよ!」


この前遠目からお見かけした水泳部の先輩だった。

ということは、今日はこれから先輩とどこかに行くんだ...。


「参ったなぁ。俺の傘も小さいしなぁ。お互い半分ずつ濡れながら相合い傘するか?」

「いや...」

「んだよ、その反応は!つれねえやつだな」


海里が困ってる。

なら、なんとかしなくちゃ。

私の足はようやく動いた。

コツコツとローファーを鳴らして海里に近付いていった。


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