キミと、光の彼方へ。
何でだろう。

その言葉を聞いた直後、まるで大きな掃除機に心のもやもやが吸い取られたみたいに、一気に全身が軽くなった。

気を抜いたら、宙にふわふわと浮かんでしまいそうなくらい。

私は碧海くんの瞳を見つめた。

碧海くんも私をじっと見つめていた。

視線が交わったのはたった2秒。

どちらからともなく目を反らして、普段の倍は塩辛い潮風に吹かれながら、足をせっせと動かした。

人生初の相合い傘は儚く終わりを迎えた。

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