キミと、光の彼方へ。
「碧海せんぱーい!こっち終わりました!」


あの子だった。

確か名前は......


「会沢さん、ありがとう」

「次は何すればいいですか?」

「じゃ、次は...向こうで物品整理。オレもいくよ」

「ありがとうございます。心強いです」


会沢さん、か...。

私は2人が用具室に入っていくまでずっと視線で追ってしまった。

ブラシを握る力が強くなる。

あまりにも力を入れすぎて気づいた時には先端がちょっとだけ折れてしまっていた。


「あぁ...」


ため息と共にやるせない気持ちが漏れる。

どうにもこうにも、海里とあの子...会沢さんが一緒にいるのが気に入らない。

会沢さんは普通に接しているように見えるけれど、海里が......

海里が......違う。

私には見せたことがないような、初々しい表情でぎこちなく笑ってる。

照れ笑いなのか、なんなのか...見ているこっちはずっともやもやする。

こんな状況で練習が本格的に始まってしまったら、もっと2人のキョリは近づいてしまうと思う。

どうしよう...。

そうなったら、私...もう海里と一緒に歩けないのかな?

海里のことを1番知っているのは私じゃなくなるのかな?

それは......


< 73 / 300 >

この作品をシェア

pagetop