キミと、光の彼方へ。
「はい、じゃあ今回は出席番号の後ろから行きましょう」

「マジか...最悪」

「碧海くん、文句言わないで下さい。いつも1番なんだから、こういう時くらいいいじゃない」

「はいはい、分かりましたぁ」


碧海くんは、ダルそうにアクビをしながら自分の順番を待っている。

私は俯いて浮かんできた考えと胸の中にある感情に流されないようにじっと耐えた。

窓から夏の生暖かな潮風が吹いてきてカーテンを揺らす。

そして、その風と共にふわっと甘くて爽やかな香りが鼻を刺激してきた。

あの日香っていた匂いと同じだった。


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