キミと、光の彼方へ。
―――ゴンッ。


目の前で机に何かが当たった鈍い音がした。


「あっ!海里じゃ~ん!もしかしてお2人さん前後?」

「うん」

「へえ~、そうなんだ~」


意味ありげにニヤニヤしてくる砂良。

不審者みたいだから止めてほしい。


「オレこれから練習だから行く。じゃあ、また」

「はぁ?!それだけ~?」

「砂良、うるさい」


海里は疾風のごとく去っていった。

行く先は、会沢さんのいるプールサイドだ。

そう思うと、胸が痛い。

そして、溺れた時みたいに呼吸が上手くできなくて、苦しい。


「珠汐奈?」

「あっ...ごめん。ぼーっとしてた」

「大丈夫?熱中症とかじゃない?」

「うん。大丈夫」

「とか言いながら、海里が前で、本当はすんごく嬉しいんでしょ?それで発熱しちゃって......キャーッ!」

「ちょっと、さっきからうるさいよ」


明日から夏休みだからって砂良は浮かれすぎだ。

普段もわりとテンションは高めで、私とは真逆の人間なのだけれど、上手くお互いで調節し、いいバランスで生活している。


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