キミと、光の彼方へ。
と、話しているうちに砂浜にやって来た。

お気に入りのスニーカーに砂が少しずつ入ってくる。

私は思いきってスニーカーと靴下を脱ぎ、裸足になった。


「夜だから、砂、熱くない」

「だな」


しばらく波打ち際を散歩した。

私は少しだけ海に触れると、手のひらがベタついた。


「何やってんの?」

「ただ水触ってただけ。やっぱりちょっとベタつく」

「海だもんな。プールの水とは違うよな」


碧海くんは水を掬い上げ、口に運んだ。


「うわっ。しょっぱ!」

「でも、プールの塩素水よりいいじゃん」

「いやいや、こんなのガブガブ飲んだら死ぬって」

「それは大げさだ」


碧海くんはもともと島の人じゃないから、海を見られてとても嬉しそうにしていた。

だから、私は碧海くんの時間に寄り添った。

こんなにも無邪気にはしゃぐ彼の時間を止めたくないって思ってしまったんだ。

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