星愛〜それでも僕は君が好き〜
ふんわり微笑んで彼女は立ち上がる。
「仲良くなりたいっておっしゃっていましたよね。」
ふわりと優しい風が吹く。
「お時間あればどこか行きませんか?」
風で彼女の髪が靡く。
そして俺の方を見てニッコリ微笑む。
…そう、この笑顔。
この笑顔に惚れてしまったんだ。
「…いいんですか?」
「はい。私も将也さんと仲良くなりたいと思っていたので。」
にっこり笑った彼女は俺の顔を挟んで目を合わせる。
「さっき、困らせてしまったばっかりなのに…」
「将也さんがどこまで私に本気なのか、見てみたくなりまして。」
顔にかかる髪を手で抑えて風を感じてる彼女。
「好きですよ。ほんとに。」
「…ありがとうございます。」
柔らかく微笑んでいる彼女だが少し笑顔が曇った。
「このままでは行けないので1度家で準備したりしたいのですが、いいですか?」
「…仕事終わりですもんね。いいですよ。」
「…お待ちいただくのも申し訳ないのでよろしければうちに来ます?」
少し考えたが女性の…それも片思いしている女性の家に行くのは…
「いいんですか?」
「私はいいですよ。」
ニコッと微笑む一花さんの笑顔はほんとに可愛くて。
何度でも見惚れてしまう。

「ー…すみません、では少しお待ちください。」
一花さん…一人暮らししてるんだ…
部屋に上がらせてもらい、お茶まで用意してもらった…
イメージしていた部屋とは違い物が少ない部屋。
もっと可愛らしい部屋を想像していた。
ピンクっぽい部屋とか。
実際の一花さんの部屋は少し暗め。
ベットがあってクロゼットがあってテーブル。
あとは水周りのみ。
質素ではないが派手でもない。
窓枠のところに写真立てが。
「…家族…?」
いや、家族では無さそうだ。
1人の男性と仲良く写っている写真。
「…気になります?」
「あ、ごめんなさい、勝手に見て…」
「いいですよ。」
お風呂上がりの一花さんの髪が濡れていて、神秘さが増している。
「…でもまだ彼のことを教える気はないです。」
「まだ信用ないの分かってます。」
クロゼットから服を取り出してまた脱衣所へ向かう一花さん。
「…彼氏、かなぁ…」
…大事な人、なのかな…
「ふふ、気になってますね。」
ニコニコ笑って後ろから覗き込んでくる一花さん。
「すみません、お待たせしました。」
…待った甲斐がありました。
何だこの可愛い子。
白のブラウスに茶色のワンピース。
髪は本当にサラサラで今すぐ抱きしめたくなるようなはにかみ笑顔。
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