二人の距離~やさしい愛にふれて~
翌日の午前中は理花の病院へ行き、昼ご飯を少し食べたのを見届けて恭吾は「また再来週の週末に来れると思う。」と言って帰って行った。

病室には理花と恵子の二人きりになり、さっきまでのにぎやかさが嘘のように静かだった。

「本当に恭ちゃん、また来てくれるかな?」

窓の外を眺めながらボソッとつぶやくように理花が言う。

「恭吾くんは再来週に来てくれるって言っとったよ。いい子やね。お父さんも陽斗も恭吾くんのこと気に入っとったみたいやったよ。」

「なんで来てくれるんかな?」

「理花のこと心配しとるんよ。理花がおらんくなったって警察に届けてくれたのも恭吾くんやったんよ。」

「私汚いのに…。いっつもいろんな人とヤッて帰ってくるのにきれいに体洗ってくれたり…。」

理花は窓の外の空を眺めながら涙を流す。恵子は理花の言葉を聞いて胸が締め付けられる様だった。
理花に起こった事を思うと声を上げて泣き出しそうになる。

「恭吾くんの気持ちは聞いたことないけんわからんけど、ほっとけんのよ。優しいね。本当にありがたい。そういえば、理花があっちっで入院しとった病院で恭吾くんのお母さんが働きよるみたいなんよ。きちんと挨拶に行ってこようと思っとるよ。」

「恭ちゃんのお母さん…。怒ってるかな?こんな私が恭ちゃんのこと縛って…。」
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