二人の距離~やさしい愛にふれて~
恭吾は家に帰ると真が待っており、笑顔で出迎えてくれた。

「ただいま。」

「おかえり、疲れただろう、長旅ご苦労様。」

「そんな長旅でもなかったよ。飛行機に乗せてもらったし、今度からは新幹線で行くよ、金がもったいないし。」

真の優しさに少し照れながらリビングに入ると、父親の大吾の写真が目に入る。
小学生の頃までは帰ると写真に挨拶していたがいつからからしなくなっていたなぁと思い出し、写真の前に行くと『ただいま。』と小さく挨拶した。

一瞬驚いたが、真はそんな恭吾の背中を優しい笑顔で見ていた。

「今日、母さんは夜勤?」

「あぁ、本当は恭吾のこと出迎えたかったみたいだけど仕事だからって渋々出勤してたよ。」

「ははっ、なんか目に浮かぶ。もうそんなに子供じゃねぇのに…心配かけたからなぁ…。」

「まぁ、親ってもんはいつになっても心配するもんだよ。」

「まこちゃんも?まこちゃんも俺のこと心配?」

「ん?そりゃそうさ、こんな小さい頃から見てきたんだ。でも立派に育ったっても思ってるよ。信用してない訳じゃないからな。」

真は恭吾を傷つけないよう気を遣っているのがわかる。恭吾はそんな優しい真が大好きだった。誰にも負けない程の愛情を注いでくれているのも感じる。

「母さんが聞いたらまた泣かしちゃうだろうけど…俺さ、まこちゃんのこと父親だと思ってるよ。オヤジには申し訳ないけど…どんなに思い返してもまこちゃんとの思い出しか俺の中になくて、あっ、アッキーたちとの思い出もあるよ、アッキーも第二の父親だと思ってる…」
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