二人の距離~やさしい愛にふれて~
昌が連れてきてくれた焼き鳥屋はカウンター席とテーブル席が2つしかないこじんまりとしたお店だった。

「とりあえずおつかれ。」

ビールで乾杯すると二人は一気に半分ほど飲み干した。

「はぁ~、うめぇ。最近ヨシと合わなくて全然飲んでなかったんだ。」

「あいつ最近真面目にバイトしてるらしいな。遊びは飽きたのか?俺がお前達の時はまだまだ元気だったぞ。」

昌はしたり顔でそう言うと遠い目になり、当時のことを思い出しているようだった。

「そんなこと言ってたらまた由実ちゃんに怒られるよ。」

「あいつは怒るのが仕事みたいなもんだからな。そして、茉莉ちゃんは悩むのが仕事なのかもな。でもあんま悩ませるなよ。」

「あぁ~、聞きたくない。別に悩ませるつもりはないよ。でもさ、仕方がないんだ。母さんってまこちゃんがいるのにオヤジ、オヤジって…。」

両手で耳を塞ぐ真似をして勢いで思っていたことを口に出してしまう。最近は本音を話す機会があってつい気が緩んでいたのだ。
しまったと言わんがばかりの顔のまま昌の顔が見れず俯く。
そんな恭吾の頭をぐいぐいと力強く撫でると昌は小さく笑う。

「ダメか?大吾のこと忘れずに想い続けたら。真さんも理解はしてるだろうし、それも含めて今の茉莉ちゃんのこと好きなんだと思うぞ。」

「うん、ごめん…アッキーにとっても幼なじみで大切な友達だもんな。口にするつもりなかったのについ…。」

「お前にとっても大切な父親じゃないのか?」
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