二人の距離~やさしい愛にふれて~
「へへっ、そうだよね~、恭吾もすごいパパっ子だったけど忘れちゃってるよね…。ごめんね、寂しい思いばかりさせちゃて…。」

我慢していた茉莉の目からは涙が流れ落ちる。

「いや、寂しくはなかったよ。まこちゃんいたし、アッキーも由実ちゃんも、ヨシもいたから。逆に賑やかすぎなくらい。」

「ははっ、確かにそうだな。由実は昼間もよく茉莉ちゃんの所に行ってたしな。」

「だって、由彰も恭吾もスッゴいやんちゃで一人でなんて面倒見れなかったもんね~。」

「ふふっ、そうよね。二人で大人しくしてるのかなって思ったらコソコソとイタズラしてたりして。喧嘩したと思ったら仲良く遊んでたり、毎日賑やかだったね。」

そこから由実と茉莉は恭吾と由彰の子供の頃の話で盛り上がる。
楽しそうに話す茉莉を見て恭吾は少し安心する。自分のせいで塞ぎ込んでいるという後ろめたさがあったのだ。

「あのっ、あのね、皆に話したいことがあって…」

話が一段落さたとき、茉莉が改まって話をする。

「私、正式に真さんと籍を入れることにしました。この前真さんからそろそろって話があって…恭吾も成人したしね。」

「何だよ、俺のせいで今まで籍入れなかったのかよ?」

「あぁ、違うの、ごめん…変な言い方だったね。母さんの気持ちの問題でね、真さんはずっと待っててくれてたの。覚悟って言うか、気持ちの切り替えというか…でもね、今のままでいいって言ってくれるのよ。」

「真さんずっとそう言ってただろ?それに大吾もきっと安心するよ。おめでとう。」
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