二人の距離~やさしい愛にふれて~
「うっ…、わかった…。いつも私のせいでお金も時間もごめんね…。」

少し上目遣いで顔を見てくる理花の頭をぐしゃぐしゃとなでる。

「お前のせいとかじゃなくて、俺がしたいことしてるだけ。家に帰ったら次来る日が待ち遠しかったり、時間潰すためにバイトも沢山入れてもらってるんだ。」

理花を見下ろす恭吾の目はいつも優しく、理花はそんな恭吾の目に見つめられると何ともたまらないものが胸の奥から溢れてくる。

「…ありがとう。」

「じゃあ、支度して。」

「そうそう、せっかくだからオシャレするかなって洋服を持ってきたんよ。可愛いワンピースと、少しお姉さん風のブラウスにスカート、どっちがいい?お店のお姉さんのオススメを買ってみたんよ。」

そう言いながら恵子は嬉しそうにバックから洋服を取り出し、理花の横に広げている。

「わっ、私に似合うかな?こんな可愛いの…」

「似合うよ。前から好きやったやろう?もうすぐ二十歳やし少しお姉さんっぽいの選んだつもりやけど。」

「いいんじゃない?どっちも似合いそう。」

恭吾も隣からのぞき込むと洋服と理花の顔を交互に見て頷く。

「ほら、恭吾君も似合うって言ってくれよるし着て見て。」

やや強引に恵子から着替えさせられそうになり、慌てて手を止める。

「ちょっと、恭ちゃんいるのに!恭ちゃんちょっと出てて。」

今までさんざん理花の裸を見てきたが恥じらう理花は初めてだった。
少し顔を赤らめて怒っている理花を見て恭吾は胸が高鳴る。今すぐに駆け寄って抱きしめたい衝動が湧きおこってくるが恵子がいる前で…と思いとどまる。
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