二人の距離~やさしい愛にふれて~
恭吾は理花が準備をしている間にナースステーションに草野と話をしに行く。

「ごめんね、呼び出して。理花さんなんだけど君がいるから大丈夫とは思うんだけど一応念のために注意事項だけ説明させてね。」

そう言うと、草野は恭吾を面会室へと案内した。

「理花とはあっちでも1回だけ遊びに行ったことはあるんですよ。ただ、途中で友達に会って話しているうちに居なくなって…そういえば、あれからまた夜出ていくことが増えたんですよね。」

「そっか、以前理花さんが君はきれいな所に帰ったって言ってたんだ。もしかるすと友達といる芹沢君がきれいに見えたんだろうね。そして自分とは違うって思ったのかもしれないね。」

「一緒に出かけたことあるって自信があったけど、失敗してたの思い出したらちょっと不安っす。」

「ははっ、大丈夫と思うけどね。こっちに友達もいないし偶然会うこともないだろうし。今日、一番お願いしたいことは理花さんから目を離さないでほしいんだ。お母さんにはGPSで追跡できるスマホを用意してもらってるからもしいなくなってもすぐ探せるようにはしているけど。」

恭吾は少し緊張気味に草野の話を聞きながら頷いている。

「あともし発作が起こった場合なんだけど、動かずに自分の中に閉じこもる場合は危険も少ないから電話で知らせてからタクシーでも捕まえて帰ってくればいいけど、もし興奮して暴力的になったときはとりあえず上から抱きしめる感じで動きを止めてやってね。そして周りの人に電話してもらうようにお願いして。帰ってこれそうになかったら駆けつけるから。」
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