二人の距離～やさしい愛にふれて～

「あはは、そっか、衝撃だったんだ…。あの日の夜の思い出、恭ちゃんにとっては私に巻き込まれた最悪な日だったかもしれないけど…私にはすごく暖かい思い出なんだ。」

「そうでもねぇよ。あの日以来、お前のことばっかり気にして、今こうしてデートしてるだろ？こんな事言うのめちゃくちゃ恥ずかしいけど…運命の出会いだったんじゃないかって思ってる。」

恭吾の言葉に理花は足を止める。

「そんな、恭ちゃんの運命が私って可哀想。」

「なんだよ、可哀想って…。本気で怒るぞ。可哀想なんかじゃなくて、今こんなにも幸せだから、お前と会えて、あの日お前のこと無視しなくて本当に良かったって思ってる。理花は辛かっただろうし、今も頑張ってしんどいだろうけど…そんなお前の横いて、こうやって記念すべき初外出につき合えて、告白して、両思いでって俺はそばにいることを許可してくれてる皆に感謝してるんだ。」

恭吾は必死になって早口で自分の思いを口にだした。
その表情を見てきっと嘘は言ってないって伝わり、理花はまた涙が込み上げる。
そんな理花の手を引き、丁度池周囲の半分辺りのベンチまで行くと座った。
しばらく理花は涙も拭かず流れるがままに涙を流しながら噴水を見つめていた。
そんな理花の横で恭吾もしっかり手を握り、何も言わずに噴水を見つめる。

「恭ちゃん、ありがとう。全部、これから頑張って退院して、いつか恩返しする。」

「なんだ、それ。俺は理花の笑顔が見れればそれで十分だよ。それにもう理花は頑張りすぎてるだろ？無理はしてほしくないし，今のままでいい。ゆっくり進もう。俺もさ、そのうち一人前の大人になるから。」