二人の距離~やさしい愛にふれて~
お金を支払いカフェに戻ると新たにアイスコーヒーを淹れてくれてくれ、ケーキを受け取りカフェを出る。

「なかなか感じのいいカフェだったな。店員さんも優しかったし。」

「うん。それに美味しかった。」

「ビーフシチューもかなり旨かった!また来ような。」

「うん。」

理花はお店にいる間は緊張している風だったが、一歩外に出ると緊張が解けたのか笑顔が戻る。

「本も読みたいやつ見つかって良かったな。どんなの買ったの?ってか理花って本読むんだな。」

「あっ、うん。前はね、本の虫だったの。だから、きっと恭ちゃんの友達みたいに賑やかな感じとかじゃなくて…いっつも図書館とか本屋さんとかにいるような人だった。」

「へぇ。陽斗さんに写真は見せてもらったよ。今よりだいぶ肉付きが良かったよな。あれはあれで可愛かったよ。」

からかい半分で恭吾は言うが、理花は淋しそうに微笑むとコーヒーを一口飲んだ。

「はぁ、コーヒーも美味しい。…恭ちゃんが見た写真の私はまだキレイだったから。」

「何言ってんだよ。今も可愛いし、キレイだろ。お前は汚くないよ。」

理花の頭をクシャっと撫でると、嬉しそうに頷く。
公園内をゆっくりと病院の方へ戻る。池をのぞき込むとコイが泳いでおり、餌をもらえると思ったのか群がってきた。
それを見て二人は顔を見合わせて笑った。恭吾は今までよりもよく笑う理花が可愛かったし、手を繋いで歩いているだけなのに楽しかった。

その日は病室へ帰ると理花は疲れていたようでベッドに横になると眠ってしまった。

「久しぶりの外出で疲れたのかな?睡眠薬飲まずに眠れたみたいで良かったけど夜中目が覚めちゃうなぁ。」

草野は理花の寝顔だけ覗きに来るとすぐに帰って行った。
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