二人の距離~やさしい愛にふれて~
「えっ?なんで笑うんですか!めっちゃくちゃ緊張したのに。」

「ははははっ、いや、いや、こちらこそよろしくな。俺的には恭吾が理花の彼氏なら安心できるよ。」

陽斗は嬉しそうに恭吾の肩に手を置く。

「そうね。私もお父さんもたまにそうなってくれたらいいねって言いよったんよ。付き合ってないって聞いとったけど理花はもう恭吾くんがおらんとダメみたいやし。」

「父親としては複雑な心境やけど、ありがとう。本当ならほったらかされても仕方がないのに…心から感謝しとるよ。」

誠一はそう言いながら丁寧に頭を下げる。

「あっ、いや、そんなっ。違います。俺が理花と一緒にいたいし、会いに来ることも許してもらって毎回送り迎えも、家に泊めてもらったり。全部ありがとうございます。」

恭吾も慌てて頭を下げる。

「そうそう、朝話をしよったことやけど、来週末とか、その次の週末とか、できるだけ早めで恭吾君のお母さんお暇なときないかね?一度きちんと挨拶に伺いたいんよ。」

「悪いっす。うちの母さんもまこちゃんもこっちに来るって言ってましたし。」

「いや、そういうわけにはいかないよ。大切な息子さんをお借りしとるんやしこっちからきちんと出向きたいんよ。もちろん、こっちにもぜひ来てもらって。九州もいい所が沢山あるけん、案内させてほしいからね。」

「わかりました。じゃあ母さんに聞いてみますね。それと、あの、母さんとまこちゃん、正式に籍を入れるらしくて、だからまこちゃんも一緒にいいですか?」

「あぁ、是非。君を育ててくれた方だろう?きちんと挨拶させてもらえると嬉しいよ。」

誠一の言葉が恭吾はうれしかった。やはり心のどこかで他人に茉莉と真の関係を受け入れてもらえないのではないかと思っていたのだ。
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