二人の距離~やさしい愛にふれて~
「そういえば、理花と初めて会った時にこいつも一緒にいたんですよ。すげぇ化粧をしてて俺がドン引きしてたらへんなやつらに理花が絡まれてこいつが助けたんですよ。じゃなかったら理花とはあれっきりでしたよ。」

「そうだったんですね。理花がお世話になりました。本当にありがとうございます。」

恵子は複雑な表情になるが、恭吾はあえて明るく言う。
誠一は恭吾と由彰が楽しそうに話している姿を見るとやはりあどけなさが残っており、いつもしっかりして見えるのは頑張ってくれているんだと実感する。

「いやっ、俺は連れ出しただけで放置した人間なんで礼を言われることはしてないっす。でもこいつは違ったし、必死で守ってました。だから、もうこいつを傷つけるようなことは言わんでください。」

由彰は無表情で恵子と誠一を見る。
恵子から始めて言われた一言がどうしても許せなかったのだ。

「お前どうしたんだよ、急に。もうその話はいいよ。誤解も解けたし。」

「はははっ、由彰も言うようになったな。もう大丈夫だよ。こうやってわざわざ挨拶に来てくれるくらいには大切にされてるんだ。これからも恭吾をよろしくお願いします。」

昌はそう言うと誠一と恵子に頭を下げる。
横で見ていた由実も昌に続いて「よろしくお願いします。」って頭を下げた。

「頭を上げてください。失礼なことを行ったのは私たちの方で、それなのに嫌気もささず恭吾君が理花に会いに来ることを反対しないでいただけてることが理花にとってどれだけ救いになっているか。」

一瞬ピリッとした空気が流れるもすぐに和やかな空気に戻り、みんなで楽しく食事をした。
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