二人の距離~やさしい愛にふれて~
恭吾は二人を観光に案内しようと思っていたが、理花を病院に残してきていることがきがかりな恵子は恭吾からの申し出を断り食事が終わると早々に九州への新幹線に乗り帰っていった。

「俺、大吾の所にでも行ってくるわ。」

みんなで誠一と恵子を見送ると昌がぼそっと言う。
真はみんなで行こうと提案し、6人で大吾のお墓参りに行った。

その後は昌の家に行き、これから家を建てる打ち合わせをした。

「これが大吾が書いてた席巻と言うか草案で、全然形にはなってないけど…。」

大吾が生前書いていた家の絵や、間取りなど何枚かの紙をテーブルに広げた。
その中には茉莉が忘れかけていた懐かしい大吾の字が書かれていた。

「ふふっ、本当に大吾が書いたんだね。」

茉莉は目に涙を溜めて指で文字をなぞる。
昌は大吾が楽しそうに語っていたことを二人に伝えながら打ち合わせをすすめる。

そんな3人を横目にリビングのソファーで恭吾と由彰はテレビを見ていた。

「なぁ、さっきの…理花のお母さんたちの前でさ、あんなこと言うとは思わなかった。」

恭吾は少し照れテレビを見たまま話す。

「あぁ、お前傷ついてたし。正直、お前はあっちの家族を信頼してんだろうけど俺はしてねぇし。」

「ヨシって一見覚めてるけど俺のこと好きな。」

その言葉を聞いて由彰は鼻で笑う。

「まぁ、お前はただの友達とかじゃねぇしな。」

「ハハッ、俺も、愛してるぞ。」

恭吾はふざけ半分で由彰の肩に手を回す。

「きめぇ。」

由彰はしかめ面で恭吾を押しのける。
いつの間にかその様子をみんな見ており、一斉に笑い出す。

「ははっ、相変わらず仲がいいな。お前らお互いファーストキスの相手だしな。大切にしろよ。」

昌は笑いながら言うと

「あれはノーカンだしっ!その話すんなっつっただろっ!」

と由彰は笑っている昌を睨みつけていた。
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