二人の距離~やさしい愛にふれて~
「そんな生活してりゃ、変な友達しか寄ってこねーだろ。」

部屋を見渡しながら恭吾が話をしていると理花は冷蔵庫から缶ビールを取り出し飲みだした。

「お前…朝から飲むなよ。アル中なんじゃねぇの?」

「フフッ、恭ちゃんも飲む?」

ぐいっとビールを飲んだ理花はまた不気味な笑顔を浮かべて飲みかけの缶を恭吾に差し出す。
恭吾は大きなため息をつくと、軽く首を振り横に倒れていた棚を起こそうと持ち上げた。

「やめてっ!触らないで!」

理花の表情は一変し険しくなり、缶ビールを放り投げ必死で腕にすがりついてきた。
驚いた恭吾は起こそうとしていた棚を元に戻す。

「えっ?なんなの?見られたくないもんでもあるの?」

「・・・・・・・」

理花は俯いたまま掴んでいる手に更に力が入った。

「何にも言いたくないなら聞かないよ。ほら、汚い部屋にビールこぼして…服も散らかしたままで濡れただろ。服は触っていいのか?」

「・・・・・・・」

なかなか返事をしない理花を見かねた恭吾は掴んでいた腕を優しく引き寄せぎゅっと抱きしめた。
一瞬身を硬くするも理花は恭吾の背中に手を回し力いっぱい抱きついた。

「よしよし、嫌なことはしないし、聞かないよ。」

「ふっ、ふぇぇ~…うっ…」

頭を撫でるといきなり理花は声を上げて泣き出した。
恭吾は戸惑うも絶えず理花の頭や背中を撫で続けた。
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