二人の距離~やさしい愛にふれて~
図書館に着いた二人は手をつないだまま館内を見て回る。
その間ずっと恭吾は真剣に本を見ている理花の横顔を見つめていた。

「ねぇ恭ちゃん、ちょっと見すぎ。」

少し顔を赤らめてそう言う理花が更に可愛くて手の甲で頬を撫でる。

「理花ってさ、こんなに可愛かったっけってくらい可愛いよな。」

恭吾は照れもせずに真顔で言った。

「ちょっと、恭ちゃん、私より頭おかしくなってるから。」

理花は小声で、怒ったように言う。
そんな理花を見て恭吾はクスクスと笑っていた。

「恭ちゃんは本読んだりしないの?」

「俺はしないな。漫画はたまに読むけど。」

「そっかぁ、じゃあ私に付き合わせて退屈だね…。なにか興味のある本でも見てきたらいいのに。」

「あぁ~、だよなぁ。」

少し顔をゆがめて考えるも恭吾は大学の資料くらいしか最近文字を読んでおらず興味もなかったのだ。

「ふふっ、あんまり興味なさそうだね。でも、機械とかそういう図案とかみてたよね。」

理花がまだマンションにいたころよく隣で勉強している恭吾を眺めていたので何となくどういう勉強をしているのか知っているのだ。

「すごいな、お前頭いいって陽斗さんに聞いたけど俺がしてることを隣で見てて理解してたんだな。」

「えっ?そんなことないよ。あっちの方に機械関係の本あるよ?」

理花は何冊か自分が読みたい本を抱え、恭吾の手を引いて専門書の方へと行く。
図書館自体が広く、専門書も随分と豊富にそろっていた。

「すごいな、大学の図書館なみにそろってる。」

恭吾は興味のある本を手に取るとパラパラとめくり始めた。

「いいのがあったらあっちのソファで読もう。先に行って待ってるね。」

図書館にはくつろいで読めるスペースがあり、座りごこちの良さそうなソファも窓際に置かれていた。
理花は指をさしたほうにあるソファへ行くと座って抱えていた本を読み始める。
恭吾も本を手に取ると理花の横に座り読み始めた。
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