二人の距離~やさしい愛にふれて~
久しぶりに来た雑貨屋は配置が変わっており、端から見て回る。
理花は可愛いノートとシャーペン、消しゴム、5色のカラーペンのセットにスリムなポーチ型の筆箱、花柄のレターセットを買った。

それからはぶらぶらと目的なくお店が並ぶ商店街を歩いた。

「あれ、理花に似合いそう。」

恭吾は店先に飾られているピンクの小花柄のスカートを指差す。

「えっ、あれは可愛いすぎるよ。」

「絶対似合うよ。理花は可愛いんだから可愛いのが似合うよ。」

そう言って理花をお店の中に引っ張って行く。
飾られているスカートと同じ物を手に取るとそれに似合いそうなノースリーブのブラウスも手に取った。

「着てみて。」

恭吾は服を理花の目の前に差し出すと理花は困った顔になる。

「これ、腕が出るよ?」

「あぁ、あんまり露出は嫌か?」

恭吾ば店内を見渡しながら言う。

「嫌とかじゃないんだけど…着たことなくて…もともとは腕太かったし…。」

「ははっ、そうか、嫌じゃないなら着てみろよ。」

恭吾が嬉しそうに言うから理花は断れず試着室へ入って行く。
すぐに試着室のドアが開き、着替えた理花が出てくる。

「やっぱり、似合うよ。可愛いじゃん。」

「そ、そうかな?恭ちゃんの頭おかしくなってるから…可愛くはないよ…。」

そう言うと理科は急いで試着室に戻った。あまりに可愛いとばかり言われどう反応して良いかわからなかったのだ。
すぐに着替えた理花は俯き気味で出てきた。
手に持っていた服を恭吾はひょいっと取るとそのままレジに向かった。

「えっ?恭ちゃん…買わなくてもいいよ。」

「俺が着てほしいから買うんだよ。それに彼女に服をプレゼントする意味知ってる?」

恭吾はしたり顔で言うとレジで会計を済ませた。
彼女に服をプレゼントする意味…理花にはさっぱりわからなかった。
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