二人の距離~やさしい愛にふれて~
「はぁ~やばかった…。我を失うところだった。」

恭吾は笑いながら言うと、理花の口元から流れ出た二人の唾液を親指で拭った。

「いいのに。失ったままでよかったのに。」

「ははっ、まぁ、正直治療うんぬんはよくわかんねぇし、理花の実家じゃなかったら最後までしてただろうな。…でも俺、理花のお父さんにもお母さんにも陽斗さんにも信頼してもらってるからな、ここではできないよ。」

「ふふっ、そっか、じゃあしかたないね。」

理花は自分のすべてを否定されてないことがうれしかった。
そして恭吾も同じ気持ちでいてくれてるとさっきのキスで伝わってきたから安心もできた。

「さぁ、布団に入って、寝るまで横にいるから。」

「えっ?一緒に寝ないの?」

「さすがにマズいだろ…。誰か入ってきたら俺が怒られる。」

恭吾はわざとらしく困った顔で理花に言う。そんな恭吾の顔を見て理花は笑いながらベッドに潜り込んだ。
その時、恭吾のスマホが鳴る。
『さっきは悪かった、助かったよ。理花のこと頼むな。くれぐれも手を出すなよ!』と陽斗からメッセージが届いた。

「陽斗さんも心配してる。理花はみんなから大切にされてるよ。」

そう言うと、今度は軽く触れるだけのキスをする。                                                                                                                                                           
電気を消し、ベッドの横に座って理花の手を握っているとすぐに寝息が聞こえはじめる。

「ははっ、さすがに疲れたんだな、薬飲んでねぇのに…。」

恭吾は小さく呟くと、理花の髪を撫でる。
自分の理性を保てるか不安だった恭吾は理花が眠ったことに安堵していた。

電気を消すと、ベッド横に用意されていた布団に潜り込む。
『理花は今寝ました。1日連れまわしから疲れたんでしょうね。おやすみなさい。』と陽斗にメッセージを送ると恭吾もすぐに寝息を立て始めた。
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