二人の距離～やさしい愛にふれて～
「なんだよ…そんなの…二人で幸せになればいいだろ？」

「ううん、恭ちゃんにはもっと可愛いくてキレイな子がお似合で、私は、本当は、こんなに良くしてもらえる人じゃないし…」

理花は頭を振りながら話す。

「誰がいいかは俺が決める。俺は今の理花がいい。良くしてもらえる人ってなんだよ…」

恭吾は理花の肩を掴み必死に説得しようとするが、理花は頭を横に振るばがりだった。

「恭ちゃん、幸せになってね。迷惑かけて、ごめんね。好きって言ってくれてありがとう。」

理花は恭吾の手を押し退けると、恭吾に背を向けて改札口へと歩いて行く。

「また会いにくるから。待ってろよ。」

背中に向かって叫んだが理花が振り向くことはなかった。

理花は改札口から出る時には涙がとめどなく流れ出ていた。
涙を見せたくないと思っていたので恭吾が追って来ない事にホッとし、改札から出るとトイレへ駆け込んでしばらく声を上げて泣いた。

恭吾は予定通りの電車に乗ると小刻みに震える手を握りしめた。
『大丈夫、会いに来ればまた会える、大丈夫…』そう自分に言い聞かせていた。

それからの一週間は落ち着かない日々を過ごした恭吾は理花と連絡が取れないまままた、理花の元へ向かっていた。
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