二人の距離~やさしい愛にふれて~
そこへ2階から理花の両親も降りてきた。

「恭吾くん、いらっしゃい。」

「いらっしゃい、せっかく来てもらったけど理花の調子が悪いんよ。」

二人とも意気消沈していた。

「こんばんは。先週別れた時からおかしくて…ご飯食べてますか?俺が何かしたのかも…。」

「恭吾くんが来てくれた時から少しおかしかったんだけどね、少しずつ塞ぎ込んで昨日から出てこなくなったのよ…。」

「そうですか…俺とはもう終わりって言われたんです…」

「どういうつもりなんやろな、最近よく塞ぎ込んどる時があったもんな。」

陽斗がコーヒーを持ってキッチンから出てくる。
四人はしばらく理花の様子について話をした。

「俺、理花と話をしに行ってみていいですか?」

恭吾は不安で押しつぶされそうになりながら2階へ上がり理花の部屋の前に来る。
ノックするも応答はない。

「理花?俺、恭吾だけど、顔、見せてくれないか?」

ドアに向かって声をかけると中から小さな物音がしたが返答はなかった。

「理花?どうしたんだ?俺、何かしたか?もしそうならごめん…。」

恭吾はドアの前でじっと待っていると小さく足音がした。

「恭ちゃんは、何もしてないよ。この前言った通り、私が悪いの。」

「自分のしたことがって話か?俺は気にしないよ。今は違うだろ?俺だって誉められた過去じゃないし…これからを大切に生きていこ?」

恭吾はドアに手をつき、縋るように理花に訴える。

「ごめっ、ごめんね…。もう、辛いの。恭ちゃんと一緒にいると当時のことばかり思い出して自分が嫌になる…。わがままでごめんなさい。お願い、もう私のこと忘れて…。」
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