二人の距離~やさしい愛にふれて~
なぜ真から着信があるんだろうと画面を見つめていると、メッセージが届く。

『長谷川さんから連絡があった。大丈夫か?今どこか連絡して下さい。』

『心配かけてごめん。大丈夫。とりあえず名古屋までの新幹線乗れたから名古屋で泊まって明日帰る。』

とメッセージを送るとまたすぐに返信がある。

『わかった。泊まるところはもう決まったのか?こっちで手配しようか?』

『大丈夫。ネカフェとかでもいいし。テキトーに探す。ありがとう。』

そう送るとそれ以降返信はなかった。
恭吾はまた窓の外へ目をやるが真っ暗であまり何も見えず、深くため息をついた。

理花から自分といるのが辛いと言われ、この先どうしたら良いのかわからなかった。
涙こそ流れ出ることはなかったが、胸が痛くたまらず息がしにくかった。

恭吾が名古屋に到着した頃には日付が変わっていた。
重たい体を何とか立たせ、足を動かして歩いていたとき後ろから誰かに腕を掴まれる。

恭吾は驚き、咄嗟に腕を払いながら振り返る。

「よっ!泣いてたって聞いたけど元気そうじゃん。」

なぜか由彰が名古屋の新幹線のホームにいた。

「おまっ、こんなとこで何してんだよ?」

「何って、恭吾のこと心配して駆けつけたんだろ?うちからの方が近かったから先に着いて助かったよ。まこちゃんから電話あったんだ。」

「ハハッ、お前どんだけ俺のこと好きなんだよ。」

「八ッ、言ってろよ。」

二人は笑いながら言い合っているがすぐに真顔に戻る。

「理花がさ、俺といると前のこと思い出して辛いんだって…。どうしろって言うんだよな…。」
< 177 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop