二人の距離~やさしい愛にふれて~
ガシガシっと頭を掻くと、恭吾は改札へ歩き出す。
由彰は恭吾の横に並んでわざと肩に腕を置いて歩く。
そんな由彰の優しさにたまらずまた涙が出そうになる。

「まこちゃんがそこのホテル取ってくれてる。自分が行くより俺の方が吐き出せるだろうからって俺なんかに頭下げてたよ…。」

「そっか…、俺ダメダメだな。この年で何親に迷惑かけてんだってな。これからはしっかりできるつもりだったんだ…。」

「まぁ、いんじゃねぇの?」

由彰は恭吾の頭をガシガシ撫でると、駅の隣にあるホテルに入って行く。
チェックインしてみると広めの部屋の真ん中にダブルベッドが一つあるだけで、あとはソファセットが置かれてるだけだった。

「なんだこれ、ベッド一つしかないじゃん!」

部屋に入ると、第一声、半ば叫ぶように恭吾が言う。

「ハハッ、俺らってこれがフツーっつーか、別々にしたらお前ひとりで起きてそうだからな。」

それを聞いて恭吾は声を上げて笑った。
由彰の言うとおりなのかもしれないと妙に納得もする。

その後、何も食べてないと言う恭吾の為に下のコンビニでいろいろ買い込んだ。
もちろんビールも沢山買っており明け方まで二人で飲んだ。

そのおかげか、恭吾はいつの間にか眠っており目が覚めると10時を過ぎていた。
ホテルのチェックアウトは11時で、恭吾は痛む頭を抱え慌ててシャワーを浴びた。
シャワーから出てくる頃には由彰も起きておりケロッとした顔していた。

二人がホテルを出ると外は気持ち良く晴れていた。
< 178 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop