二人の距離～やさしい愛にふれて～

「なぁ、俺名古屋初めてかも！いろいろ調べたんだけどさ、やっぱりど定番のひつまぶしかな？」

由彰はあくまでも名古屋を満喫する気満々の様子で、恭吾は落ち込む暇もなく由彰が調べたお店に連れて行かれる。

「お前さぁ、マジで食いもんだよな。」

「せっかく来たからには食ってかないと損だろ？」

由彰はニコニコと笑っているタイプではないが嬉しそうなのが伝わってくる。
恭吾はため息をつきながらも由彰の優しさに感謝していた。

「あっ、そうだ！まこちゃんとおやじからお小遣いもらったんだった。」

「へぇ、じゃあその金で飯食ってお土産買おうぜ。」

二人はあえてテンション高く過ごす。
帰りの新幹線ではさすがに寝不足の二人は熟睡し、気付けば目的駅に到着しておりあわてて降りる。

新幹線に乗り込んだときに由彰は今乗ったことを真と由実に連絡していた。
そこから新幹線の発着を調べたのか、ホームには茉莉と真、由実と昌が二人を待っていた。
四人は二人を見つけると駆け寄ってくる。

「もうっ、心配したんだから！ちゃんと連絡くらいしないと、昨日の夜だって１時間くらい連絡付かなくてどんだけ心配したと思ってるの！」

由実が涙を流しながら恭吾の肩を何度も軽く殴りながら怒る。
恭吾は由彰があまり顔にだしてなかったから深く考えていなかったが由実の態度を見てすごく心配をかけたことに気づいた。

「うん、ごめん。新幹線乗ってて…電話気づかなくて隣に乗ってたおっさんに電話なってるって教えてもらって気づいたんだ。」

「もうっ！それで恭吾は大丈夫なの？今はきついかもしれないけど時間が解決してくれることもあるから。美味しいもの食べて元気つけましょ。」

由実は自分が失恋したかのように恭吾に抱き着くと泣いていた。
由実の後ろには茉莉が立っており、二人の姿を見て静かに涙を流していた。