二人の距離~やさしい愛にふれて~

「なんか…邪魔だろ?二人で堂々とデートしてくりゃいいのに…」

「茉莉ちゃんはお前とも行きたいんだろ?そんな事言ったら茉莉ちゃん泣くぞ。泣かしたらうちのオヤジ怖えぇぞ…」

「俺はアッキーより由実ちゃんが怖ぇぇよ。」

「ククッ、確かにオヤジより母さんのほうが迫力あるな。」

二人は由彰の両親を思い浮かべて笑い合った。

アッキーこと由彰の父、(あきら)は恭吾の父親や真と幼なじみであり、由実ちゃんこと由彰の母、由実は恭吾の母親と親友と呼べるほど仲が良い。

二人はお腹の中にいるときから一緒にいるんだとよく言われており、性格は違っても一緒にいるのは妙にしっくりくるのだ。

「はぁぁ…俺、理花の顔見に行くつもりだったんだよな…」

小さく呟く恭吾の言葉を由彰は聞き逃さなかった。

「理花って…昨日の女だよな?正気か?」

「あっ…う~ん…あいつさ、意外と可愛いんだよ。で、多分アル中…?なんかほっとけない感じなんだよな…」

「へぇ~、珍しっ!ヤったら情が湧いたのか?恭吾が?」

あり得ないという顔で恭吾を見る。

「だよな…俺も可笑しいとは思ってる。でもほっといたらダメなヤツなんじゃって思うんだ。」

「まぁ、ほっといたら殺されかねねーよな。頭おかしくなってそうだったし…でもどうするんだ?」

由彰の問いに恭吾は頭を抱えて考え込んだ。
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