二人の距離~やさしい愛にふれて~
「ほらっ、お前が抱き着いてたら茉莉ちゃんが抱き着けないだろ?」

そう言って昌は由実を恭吾から引きはがす。
そんな姿を由彰と真は笑って見ていた。

「もうっ、本当に心配したんだから。恭吾に何かあったら母さんもう生きていけないじゃない。良かった。無事に帰ってきてくれて。」

「ごめん、っう…」

恭吾は茉莉の涙を見てこらえていた涙が一気にあふれ出た。
茉莉は自分よりだいぶ大きくなった恭吾を必死で抱きしめる。

「さぁ、とりあえず車に行こう。ここじゃ通行人の邪魔になってる。」

真は茉莉と恭吾の肩をポンポンっと叩くと改札へと歩き出し、みんなもそれに続いた。

六人は夕食を一緒に食べに行き、恭吾を元気づけるためと豪華に料理を頼んだから由彰が喜んで食べていた。

「そういえば昌美は?」

食べ終わるころ、由彰が妹の昌美がいないことに気づく。

「今日も友達の家に泊まるって。」

由実が軽く答えると、由彰がニヤッと笑う。

「友達じゃなくて彼氏だろ?」

その言葉に昌と真は動きが止まりショックを受けた表情になる。

「あいつ、彼氏いるのか?」

「あぁ、我が家の天使もとうとう…」

昌も真も唯一の女の子である昌美を溺愛しており、彼氏の存在にショックが隠し切れなかった。

「天使って、まこちゃんそれは親バカすぎ!」

由彰は笑っていたが、真は真剣な顔で宙を見つめていた。

「まこちゃんもアッキーも俺らのときとは反応が全然違うんですけどっ。」

恭吾は呆れた顔でいうので、由実と茉莉はクスクスと笑っていた。
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