二人の距離~やさしい愛にふれて~
自暴自棄
その日の夜、恭吾のスマホには誠一と陽斗から着信が何件かあったがまともに受け答えできる自信がなく無視をしていた。

『昨日は悪かった。お前のこと邪魔者扱いしたわけじゃないんだ。本当に申し訳ない。恭吾には今までのこと心から感謝してる。』

と陽斗からメッセージが届く。
そのメッセージを読み、また恭吾は胸が苦しくなり涙が流れる。

「はっ、まるで最後のお別れみたいじゃん。」

そうつぶやくと、スマホの画面を閉じた。

その日から恭吾は一見すると真面目に大学に通い、夜はバイトを頑張っているように見えた。
だが、あまり笑うことがなくなり、由彰以外の友達ともあまり交流をしなくなった。

周囲の友達も近寄り難くあまり話しかけない中、まりあだけはしつこく恭吾にまとわりついていた。

「ねぇ恭吾、日曜日ひま?このお店のランチ美味しいって!一緒に食べに行かない?」

恭吾が学食のテラス席で由彰を待っていると隣にまりあが座り雑誌を指差し話しかけてくる。

「行かねぇ。」

恭吾は冷たく返すがまりあは怯むことなく話しかけてくる。

「でもバイトって夕方からでしょ?いいじゃん、行こうよ~。デートしたいなぁ。」

テーブルに置いた恭吾の手にまりあは自分の手を重ねる。
恭吾はベタベタと触ってくるまりあに苛立っていた。

「お前さぁ、勝手に触んなよ!気持ち悪い。」

恭吾は半ば睨むように言う。

「えぇ~!気持ち悪いってひどくない?旬な女子大生に!」

「俺は若い女好きのおっさんじゃねぇよ。他当たって。」

「恭吾さぁ、さすがに私の気持ちも察してよ。私は恭吾がいいの、お試しでいいからさ、付き合おうよ。今彼女いないんでしょ?」
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