二人の距離~やさしい愛にふれて~
ぐいぐい引っ張られるままに恭吾はまりあの家に連れて来られる。
まりあは大学から徒歩15分程のマンションに一人暮らししていた。

「お前って地元こっちじゃねぇの?」

「おっ?いいねぇ、私にもっと興味もってもって!あっ、地元はもっと北のほう。通うには1時間以上かかるから一人暮らしさせてもらってる。」

「ふ~ん。」

「聞いといてその返事!他には?何でも答えるよ!」

素っ気ない恭吾の態度にめげずにぐいぐいすり寄っていく。

「いや、今はいいや。」

「じゃあ、私の番ね。すっごく気になるんだけどヨシくんとの関係?べったりだからまさかそっち?とか思って…」

「幼なじみ。生まれたときからの。」

「へぇ~、長いね!安心した。さっきもヨシくんが言ってくれたから私とお試しでって受け入れてくれたでしょ?だからどんな特別かなってドキドキした。」

まりあは少し顔を赤らめながらクスクス笑っている。

「気持ち悪い。」

「ハハハッ、じゃあさ、最近なんで元気ないの?少し前まで元気だったのに…。みんな心配してる。」

「言いたくねぇ。」

恭吾は眉間にシワを寄せ、強めに言い放つ。

「あっ、ごめっ、聞かれたくないこともあるよね~、アハハ。」

慌てて取り繕うように笑うまりあを見て不憫には思うが可愛いとか、優しくしたいとか、触りたいなどの感情は全く浮かんで来なかった。

「楽しくないのに笑うなよ。やっぱ無理だわ。」

苛立ちながら立ち上がろうとする恭吾に、まりあはすがりつくように抱きつく。

「今は、今は性欲処理とかでもいいから…、お願い、しよ?」
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