二人の距離~やさしい愛にふれて~
朝起きるとまりあは先に起きており、朝ご飯の準備をしていた。
そんなまりあを後ろから抱きしめ、「おはよう。」と頭にキスをする。

恭吾はいつかこれが当たり前になり、理花のことは思い出になると自分に言い聞かせた。

それからは表向きは仲良しなカップルのように恭吾とまりあは一緒に過ごした。
あれから陽斗や誠一から連絡が来ることもなく、今理花がどんな状態かわからずもどかしいままどうしようもなく自分の感情を押し殺していた。

「上手くいってるじゃん。」

久しぶりに学食で一人でいると由彰から声をかけられる。

「なんか久しぶりだな。」

「お前らべったりだから遠慮してやってんだよ。オヤジがまりあちゃんと顔見せに来いって言ってたぞ。」

「あいつがベタベタと離れねぇから…。でもまだそんなんじゃねぇし、アッキーに一人で会いに行くって言っといて。」

由彰の予想に反して恭吾の表情は暗かった。

「あんだけべったりなのに?てっきり上手くいってると思ってた。」

「あ~、上手くはいってると思う。ってかあいつにはきっといろいろ我慢させてるんだと思う…。」

「我慢ね…、まだ理花のこと忘れられねぇ?」

「はぁぁ~、俺ってさこんなに未練がましくなかったよなぁ。いちいちあいつと理花を比べてるんだ。辞めようと思うのに頭が勝手に…」

言いながら恭吾は両手で頭を抱える。

「まぁ、理花は初めから強烈だったからな…時間がかかっても仕方がねぇよな。」

由彰は恭吾の頭をガシガシなでる。

「いてぇ。」

「今日バイトは?久々飲みにいくか?」

「あ~、いや、まりあんちに行くことになってるから…悪い…」

「まぁやることやってりゃそのうち情が湧くだろ?」

「やってねぇ。」

「はっ?お前が?マジか…重傷だな…」
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