二人の距離～やさしい愛にふれて～
◇◇◇

大学を出た恭吾はタクシーに乗り、一緒に遊んだゲームセンターへ向かった。

中に入ると急ぎ足で店内を見て回る。
夕方で学生が多く、一人一人見逃さないように見たが理花はいなかった。

「くそっ…理花の居そうな場所……」

恭吾は少しイラつきながら頭を掻いた。

「まさか…」

恭吾は理花の行場所を考えていると、初めて会ったクラブが頭に浮かぶ。
もしクラブに行っていたとして、理花を覚えている男たちから何をされるか…そう思った恭吾はゲームセンターを出て走り出した。

とりあえず本当にこっちに理花が来ているのであれば早く見つけ出さなければと気が急く。

急いでクラブのある繁華街に行くもまだ開店時間には早く開いていなかった。
店の周りも出勤しているだろう人がちらほらいるだけで夜のような賑やかさは全くなかった。

安堵と同時に落胆した恭吾はどこを探せばいいかわからないまま繁華街を後にした。
スマホを見るも陽斗からの連絡はない。
何となく歩き続けた恭吾は自然と以前理花が住んでいたマンションに来ていた。

もう部屋は解約しているから来た所で別の誰かが住んでいるだけなのにと恭吾は自分の行動をあざ笑った。

力無くマンションの前の花壇に腰を下ろすと、以前も理花が帰って来なくてここに座って待っていた事を思い出した。
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