二人の距離~やさしい愛にふれて~
恭吾は片手で理花をしっかり掴んだまま陽斗に電話する。

「もしもし、理花、いました。」

『はぁ~~、良かった。やっぱりそっちに行っとったかぁ。急に悪かったな、助かったよ。』

「とりあえず逃げないよう捕まえてますんで。このまま二人で話をさせてもらっていいですか?明日、必ずそっちに送り届けますんで。」

『あぁ、わかった。申し訳ないけど理花のこと宜しく頼む。』

「はい、また連絡します。」

恭吾は電話を切ると理花を見る。理花は俯き、もう抵抗する素振りも見せなかった。
そんな理花の髪を優しく撫でる。

「少し肉が付いたな。ちゃんとご飯たべてるんだ?」

恭吾の問いに理花は頷くだけだった。

「とりあえずどっか店に入ろう。」

そう言って恭吾は理花はひっぱって駅のほうへと歩いた。

どこのお店に入ろうか迷っていると恭吾のスマホの着信音が鳴る。

『今日のご飯何が食べたい?真さんも早く帰れそうみたいだから外でもいいけど?リクエスト求む!』

恭吾は母親からのメールで今日は家でご飯を食べると言ってあったことを思い出す。
ご飯は食べて帰るとメールを打っていて手を止めた。

「なぁ、家に来ないか?陽斗さんに明日帰るって言ったし、泊まるとこないだろ?うちの母さんも理花に会いたがってたし。」

突然の恭吾の提案に理花は戸惑っていた。そもそも一目恭吾の姿を見て帰るつもりだったから直接顔を合わせてしまっただけでも気まずいのに家に行き、お母さんにまで会うなんて予想外過ぎて上手く考えきれなかったのだ。
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