二人の距離~やさしい愛にふれて~
茉莉はそんな理花の視線を感じ振り返る。

「もし良かったら冷蔵庫の一番下の引き出しにレタスが入ってるからサラダ用にちぎってくれない?」

「えっ?…はい。サ、サラダにはレタスと何を入れますか?」

「う~ん、冷蔵庫何が入ってたかなぁ?理花さんに任せてもいい?」

最近理花は家事のほとんどを母親と一緒にしており料理も出来るようになっていた。でもサラダだけでも任されると緊張する。
慌てて手を洗い、小さな声で「失礼します。」といって冷蔵庫を開ける。
そんな理花が可愛いくて茉莉はクスッと笑った。

「うちって恭吾しかいないから女の子と一緒に料理ができるなんて嬉しい。」

「そんな…、女のコって、そんな可愛いものじゃないんです…。」

理花は冷蔵庫からレタスとトマトを取り出すと茉莉の横に行く。そんな暗い表情の理花を見て茉莉は心を痛める。

「理花さんは可愛いわよ。私にとってはとっても可愛いお嬢さんだわ。息子に見る目があってよかったって正直胸をなでおろしてるところなのよ。」

できるだけ明るく言う茉莉の言葉に理花は胸が苦しくなった。

「・・・・・・あり、が、とうございます。」

俯いたままボソッとお礼を言う理花の目には涙が浮かんでいた。

「あっ、そうだ、ミモザサラダにする?親子丼だけど。」

そう言って笑っている茉莉の姿に理花もつられて笑顔になるがその瞳からは涙が流れ落ちた。
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