二人の距離~やさしい愛にふれて~
恭吾もバスルームから出てくるとソファに座っていた理花の隣に少し距離を開けて座った。

「はぁ…」

軽くため息をつくと理花を見る。理花は膝の上で手を握り俯いていた。

「今日、なんで一人でこっちに来たの?」

「・・・・・・・・・。」

「黙っててもわからない。陽斗さんにから連絡もらってかなり心配したんだ。」

「…ごめ、んなさい。」

もう泣かないと思っていたのに理花の目からはまた涙が溢れだした。

「責めてるんじゃないんだ。理由が、理花の本当の気持ちが聞きたいんだ。」

「自分がね、こっちでしてたこと…死にたくなるほど嫌になるの。あのまま死んでたら楽だったのかなって思うこともある…。」

力いっぱい握りしめている手の上に涙が落ちる。

「そんな時にいっつも恭ちゃんの顔が出てくるの。たまらなく会いたくなって…でも会えなくて、会いたくなくて、生きてる意味が分からなくなる・・・・っうぅ…」

泣き崩れる理花を抱きしめたかったが自分が手を伸ばしていいのかと躊躇する。

「俺は会いたかったよ…この半年、頭の中から出ってくれないから、毎日会いたかった。」

「ごめっ、なさ・・・・」

「俺らってさ、なんで我慢してんの?なんで一緒にいられないの?俺はさ、キレイだった頃の理花のことは何も知らないんだ。もし、その頃の理花に会ってもきっとすれ違って終わりだったと思う。あんなことがあった方が良かったってわけじゃないけど、あんなことがなかったらきっと出会えなかったんだ。そしてそんなお前を好きになった…それじゃダメなの?」
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