二人の距離~やさしい愛にふれて~
泣いていた理花から寝息が聞こえてきて恭吾は小さく笑っていた。
前も泣いている理花を抱きしめると寝ていたことを思い出したのだ。

「なんだよ、寝るなよ。もっと話したいこといっぱいあるのに…。」

優しくつぶやくと、理花を抱え上げ、ベッドへと運んだ。

理花を寝かせるとリビングに出てきて真に電話をする。

「まこちゃん、今日は何も聞かずに普通にしてくれてありがとう。理花さ、俺に会いに来たんだって。」

『へぇ、理花さんにとってこっちに来るってすごい勇気がいることだったんじゃないかな?今は?隣にいるの?』

「いや、もう寝たよ。そうだよな、きっとすごい疲れただろうな。」

『それで?どうするの?しばらくこっちにいるのか?』

「明日あっちに連れて行く。きっとこっちにいたら疲れるだけだろうし、家族も心配してるし…。それでさ、まこちゃんや母さんを巻き込んだのに心配ばっかりかけてこんな事、わがままだと思うんだけど…俺さ、やっぱり理花と一緒にいたいんだ。ダメかな?」

『ハハハハッ、ダメって言ったらやめるのか?お前は大吾の子だからな、反対したら家出しかねないな。』

そう言って真は楽しそうに笑っていた。

「なんだよ、家出って…。そんなのしないよ。でももう諦めたくないんだ。向こうの親にも明日話をしてくる。」

『こんなに早くお前がお婿に行くとはな。』

< 205 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop