二人の距離~やさしい愛にふれて~
「ヨシが悪かったな。びっくりしただろ?」

恭吾は理花の頭を撫でながら言うと理花は頭を横に振る。

「恭ちゃん、本当にごめんね。自分ばっかり傷ついてると思ってて、自分のことしか考えてなかった。」

「いいんだよ。こうやってやっぱり俺が好きって一人で会いに来てくれたから。ヨシには世話になったんだ。あとさ、ヨシの親のアッキーと由実ちゃんにも。良かったら今度会ってほしいんだけど…無理にってわけじゃないけどいつか。」

今の理花にはまだハードルが高いと思い、言いながら慌てる。

「うん、でも私怒られちゃうかな?」

「そんなことねぇよ。アッキーは俺のオヤジの幼馴染でさ、第二の父親みたいな人で俺のしたいようにしていいって言って見守ってくれるような人なんだ。由実ちゃんも。うちの母さんもまこちゃんもそうだっただろ?」

「うん、あんなに優しく迎え入れてくれるなんて思ってなかった。」

理花は泣きながら笑うと、恭吾はあまりの可愛さに軽くキスをする。

「なんだろうな、俺今まで女の子のこと可愛いと思ったことはあったけどこんなにかぶり付きたいほど可愛いと思ったのは初めてだよ。お前可愛すぎ。」

その言葉に理花の顔は熱くなり、両手で顔を隠す。
そんな行動ひとつひとつが可愛く思え、恭吾は思いっきり理花を抱きしめた。

それからは茉莉が作ってくれていた朝食を食べ、二人で家を出る。
駅にあるショッピングモールはもう開店しており、賑やかだった。

「理花の着替え買うか。」

恭吾は昨日と同じ洋服を着た理花を見て言う。
理花は「いらないよ。」というが恭吾は楽しそうに理花の手を引いて中に入って行く。
髪が短くなった理花に似合いそうな服を恭吾は選ぶ。久しぶりにこんなに気持ちが高揚していると感じ、幸せだった。
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