二人の距離～やさしい愛にふれて～

「恭ちゃん、気持ち悪がらずに抱いてくれてありがとう。不安でたまらなかったの。」

恭吾にしがみつき、胸に顔を埋めるとか細い声で言う。

「なんだよそれっ。気持ち悪いなんて思うはずねぇだろ？ねぇ、どうやったら伝わる？理花がいねぇと生きててもつまんねぇ。好きなんだ、お前見て欲情しかしねぇよ。」

「うぅっ…」

しばらく恭吾の胸の中で泣いていた理花はゆっくり顔を上げる。
そんな理花を優しく見下ろすと軽くキスをする。

「はぁ、可愛いな。もう離れたくねぇ。」

力いっぱい抱きしめると理花は恭吾の腕の中で笑い出した。

「フフッ、早くこうしてれば良かった。恭ちゃんから嫌われるのが怖くてたまらなかったの。」

「俺はずっと理花が好きって言ってたけどな。」

何度も顔中にキスをしながらじゃれつい合っているとスマホのバイブ音が鳴っていることに気づいた。

「あっ、やべっ！新幹線乗ってマナーにしたまんまだった！陽斗さんたち心配してるぞ。」

慌ててスマホを見ると何件も着信があっていた。新幹線に乗るときに連絡したきりで連絡をしていなかった。

「そういえば、私も昨日電車に乗るときに電源切ったままだった。あまり連絡ないから忘れてた。」

理花も自分のスマホの電源を入れるとすごい件数の着信とメッセージが届いていた。

二人は慌てて身なりを整えるとホテルを出た。恭吾が陽斗に電話するが陽斗は出ず留守電のアナウンスが流れる。

「とりあえず駅からタクシー乗るぞ。」

恭吾は理花の手を引いて駅へと急いだ。
駅に入り反対の出口に行こうと進んでいると目の前に陽斗がいた。