二人の距離~やさしい愛にふれて~
お互いを見つめ合っていると会場が騒がしくなる。
見てみると会場に設置された巨大モニターに恭吾にそっくりな男性が映し出されていた。

『え~っと、んっん、茉莉、俺と結婚してくれてありがとうございます。俺は世界一幸せ者だよ。そしていつまでも一人前になれない俺を支えながら恭吾の世話まで本当に感謝してます。これからは俺が支えられるよう頑張るよ。茉莉の幸せが俺の幸せです。家族三人、幸せになろうな。大好き、愛してる。って恥ずかしすぎますってぇ~!』

モニターを見つめながら茉莉は号泣しはじめ、真が優しく抱き寄せる。
そこへ昌が真剣な顔をして近づいてきた。

「茉莉ちゃん、実は大吾が死ぬ少し前の飲み会でふざけて結婚式用にって先輩がビデオを撮ってたんだ。死んですぐに先輩から受け取ってたんだけど茉莉ちゃんに見せられないまま俺が持ってた。」

茉莉は泣きながら昌の顔を見る。

「どうしても茉莉ちゃんにこのビデオ見てほしくてさ、真さんに相談したんだ。そしたら結婚パーティーに流そうってことになったんだ。きっと大吾は茉莉ちゃんの幸せだけを願ってたから天国で喜んでるよ。」

「ふえぇ~、大吾、会いたいよ。大吾がいないと嫌だよぉ。大吾がいないと…」

そう言って真の胸で茉莉は泣き崩れた。
その姿を見て昌も由実も涙を流す。

「あんな母さん初めて見た。父さんもあんまり見たことなかった。声までそっくりだな。」

そう言って恭吾はこみ上げてくる涙をこらえた。
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