二人の距離~やさしい愛にふれて~
理花は恭吾から離れようとせず、くっついたまま少し冷めたお粥を食べ始めた。

「恭ちゃんの作ったお粥は本当に美味しい。」

「ハハッ、もう冷めただろ?理花は甘いもの好き?プリン買ってきたけど食える?」

プリンという言葉を聞いた理花の表情が少し明るくなった。

「そう言えばプリン好きだったなぁ。良く頑張った日のご褒美に食べてた。」

「へぇ~、じゃあ今日は酒飲まずに頑張ったからご褒美だな。」

喜んでくれたことが嬉しくて少しはにかみながら恭吾は冷蔵庫からプリンを持ってきた。
プリンの上には生クリームが乗っておりそれを見た理花は更に表情が明るくなった。

「恭ちゃんのは?半分こする?」

「いや、俺は甘いものはちょっと…ヨシの妹が好きなんだ。生クリーム乗ってたらテンション上がるっていっつも言ってるから買ってみた。好きそうで良かったよ。」

理花は『ヨシの妹』に少し嫉妬のような感情が湧きつつも目の前のプリンを一口食べた。
久しぶりのプリンの味がよく食べていた頃の記憶を鮮明に思い出させる。

(あんな頃があったんだ。普通の日常、普通の生活…普通の…)

自然と目からは涙が溢れる。でも手を止めることなくプリンをほおばり続けた。

そんな理花を見つめ、頭を優しく撫でる。
不思議と理花はその日から少しずつご飯を食べれるようになり、吐くことはなかった。
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