二人の距離~やさしい愛にふれて~
「私こういう所ってほとんど来たことない。」

理花は辺りを見回した。見たことはあっても触ったことのない物が沢山あった。
恭吾は理花の手を引きいろいろなゲーム台へ連れて行き遊んだ。
格闘技や射撃、リズムゲームやレースなど理花は見よう見まねでやってみる。
必死でやっているうちに負けたり出来なかったことは悔しがり、勝てたり成功したことは喜んだりと感情が表に出てきていた。

一通り遊んだあと、理花はお店の入り口付近に並んでいるクレーンゲームを眺めていた。
ほのぼのとした猫のぬいぐるみのキーホルダーの中に恭吾に似たキャラクターを見つけ思わず小さく吹き出して笑った。

「何?なんかあった?」

「ねぇ、あれ、あの奥にある黄色のたてがみがある猫って取れるかな?」

「あぁ~、壁側にあるやつだよな…。もう少し手前なら取れるけど、何回かしたらとれるかな?」

恭吾はぶつぶつと独り言をいいながらクレーンゲームにお金を入れた。
でも何度やっても取れずに、たまたま手前にある別の猫のぬいぐるみを釣り上げた。

「くそっ、違うのが取れたな。」

「フフフッ、もういいよ。この猫ちゃんも可愛い。」

取れた猫はでっぷりとした猫でなぜか手にお団子をもっていた。
恭吾が悔しがっているのを横目に理花は目当ての猫ではなかったものの取ってもらえたことがうれしくて猫の頭を人差し指で撫でていた。
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