二人の距離~やさしい愛にふれて~
その時、少し離れたところから恭吾を呼ぶ女の子の声が聞こえた。
二人は同時に声のする方に振り返った。

「恭吾~、やっぱりそうだ!会いたかったよぉ~。」

大きな声でそう言いながら駆け寄ってきた制服を着た女の子は恭吾の腕に
抱き着いた。

「おぉ、昌美じゃん。久しぶり。」

「久しぶりじゃないよ!最近全然遊んでくれないし、家にも顔出してくれないでしょ?ヨシに聞いても知らないって言うし。」

「ははっ、淋しがり屋だからな。あっ、そうだ、理花、こいつこの前会ったヨシの妹の昌美。」

昌美は恭吾の腕にくっついたまま下唇を出していじけた顔をしていたが『理花』という女性の名前を聞いて驚いて振り返った。

「あっ、・・・・・・初めまして、理花です。」

「えっ?えっ?恭吾って彼女できたの?」

目を丸く見開いて驚いている昌美に恭吾はなんと返事しようかと迷った。
実際一緒にいて、恋人のようでもあるが、体の関係こそ2回あったもののそれ以降は何度かキスをしただけだった。
それに自分の理花に対する気持ちが『好き』とういう気持ちなのかも定かではなかったし、理花からも『好き』と言われたこともなかった。

答えを躊躇していると、後ろから由彰の声が聞こえた。

「おいっ、走っていなくなるなよ。探すのが面倒くせぇだろっ。」

声のする方に3人で振り返ると由彰が歩いてこちらに来ていた。
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