二人の距離~やさしい愛にふれて~
「ヨシと一緒だったのか。」

「恭吾、お前ここで何してんの?」

「あぁ、理花と遊びに来たんだよ。あんま来た事ないって言うから端から遊んでた。」

そう言って恭吾が理花の方を向くから由彰も同じ方を向く。
理花を見た由彰は目を見開いた。知っている彼女の姿はひどい化粧をして髪もぼさぼさだったからだ。

「えっ?こいつが理花?」

「あっ、あのっ………。」

理花は素面で人と接する方法を忘れており、急な由彰の登場にどう返事をしていいのかわからなかった。

「ハハハハッ、びっくりだろ?化粧落としたらこんなに可愛いなんて。」

「はい、はい、私も中に入れてよぉ~!ってか恭吾に彼女なんてちょっとショック……。」

「お前はうるせぇよ。悪かったな。こいつ最近恭吾に会いたいってうるさかったから。」

そう言って恭吾の腕から昌美を引きはがした。

「ハハッ、可愛い妹だからな。今度昌美も一緒に来ような。」

恭吾は優しく笑うと昌美の頭をポンポンと撫でていた。
少し離れていたところで三人を見ていた理花は泣きたくなるような胸の痛みを感じていた。
そんな理花に由彰は近づき、顔を覗き込んだ。

「まじか…今日は酒飲んでねぇの?」

「・・・・・・・・・・」

いきなり目の前で話しかけられてどうしていいのかわからなくなり理花はパニックになっていた。
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